1.はじめに:大学留学という選択肢
海外に憧れている方や海外で勉強してみたいと考えている方は大学留学が選択肢に挙げられるでしょう。
大学留学は、多様な価値観の獲得、グローバルな人脈の構築、語学力の向上など、さまざまなメリットをもたらします。
交換留学という形で海外の大学に通う方法もあれば、現地の学生と同じように大学に入学し卒業まで留学する方法もあり、留学の形はさまざまです。
一方で、留学費用の負担や言語の違い、文化の違いなどのデメリットも存在します。
そこで本記事では、大学留学のメリット・デメリットとそのデメリットを解消する方法などについて解説していきましょう。
2.大学留学のメリット
大学留学はさまざまなメリットをもたらしてくれるものです。
ここでは具体的にどのようなメリットがあるのかを解説していきます。
大学留学のメリットをうまく活用することで就職にも役立たせることが可能になるでしょう。
大学留学に興味のある方や就職活動とどう関係があるのかなどを知りたい方などはぜひ参考にしてください。

メリットその1:グローバルな視野と多様な価値観の獲得
日本人は他人の目を気にし、自分の意見を述べることにためらいを感じることが多い傾向にあります。しかし、大学留学をすると、さまざまな国出身の学生とともに学び、自分の意見を求められるでしょう。それらの経験から自らの視野を広げることで新たな価値観を取り入れ、多様性を身につけられます。
メリットその2:英語力・異文化コミュニケーション能力の向上
大学留学をすると、英語をはじめとした語学力や異文化コミュニケーション能力が向上するでしょう。
語学力を高めるためには多くの会話を経験することが重要です。日本でも語学の学習は行えますが、実際の会話の機会は少ないのではないでしょうか?
一方で、海外の大学に留学すると、授業や日常生活で必ず会話の機会が生まれるため、日本にいるときよりも実践的な会話に触れることができます。そして自らの考えを英語で表現せざるをえない環境に身を置くことで、コミュニケーション能力が向上していくのです。 海外留学を通して高い英語力を身につけることで、グローバルに活躍する企業への就職に繋がる可能性が高まるでしょう。
メリットその3:専門知識・研究環境の充実
海外の大学の中には、日本ではあまり研究がされていない分野を学べるケースもあります。
大学によっては研究環境が充実しており、専門的な研究に積極的に取り組めるでしょう。
日本ではあまり盛んではない分野を勉強することで、就職活動においてもその専門性があなたの自己アピールになります。
メリットその4:人脈・ネットワークの構築
大学には、世界各国から学生が集まっているため、人脈やネットワークの構築が盛んになります。
日本にいるとあまり出会えないような異国の友人が作ることができ、人生における貴重な経験が積めるでしょう。また、友人の出身国に興味や関心を持つことで、国際的な視野を広げることができます。
メリットその5:自立心・問題解決能力の向上
海外ではさまざまな問題に直面することがあるでしょう。
例えば銀行口座の開設や家探しなど、日本だと簡単にできることでも、言語の壁などからスムーズに進まないこともあります。
また、事務手続きを行いたいときに、担当者からの返信が遅く煩わしさを覚えてしまうこともあるかもしれません。このような事態に直面したとき、解決策を見つけてうまく乗り越えることができれば、自身の成長に繋がります。
留学先で初めて一人暮らしを経験する方も多いのではないでしょうか。
しかし、不安な気持ちを抱きながらも現地で生活することで、自立心や生活力が身についていきます。
3.大学留学のデメリットと解消方法
このトピックでは具体的にどのようなデメリットがあるのかを解説し、その解消方法を考えます。
留学に興味のある方はメリット・デメリットの双方を踏まえた上で実際に留学するのかどうかを検討してみてください。

デメリットその1: 費用負担
各国ごとに留学費用は異なりますが、アメリカやイギリス・オーストラリアなどの年間相場は約300万円〜400万円程度。また、ドイツやスペインなどの年間相場は約100万円〜200万円程度です。さらに学費以外にも現地での生活費や渡航費などが発生するため、高額な費用が必要です。
<解消方法>
・各大学や団体の奨学金制度や、海外留学者を対象とした給付型の奨学金を利用する。例:返済不要の奨学金が日本よりも充実している場合が多いです。(アメリカ等)
・学生ビザでできるアルバイトをする
→飲食店などで働けば賄いが出て食費節約になることも。
デメリットその2:時間的制約
留学をすると、さまざまな面での時間的制約を受けることになるでしょう。
たとえば、海外の大学の場合、課される課題の量が膨大で授業以外の時間のほとんどを勉強に充てなければならないこともあります。
そのため、「海外に行くのだから観光もしたい」と考えていたものの、実際には週末も勉強するために図書館に通うことになるかもしれません。
また、帰国後の就職活動への影響もあります。
海外の大学は卒業が5月や6月、さらには秋頃になるケースもあるため、現地の大学に正規生として入学した場合、多くの日本企業が新卒採用活動を行っているときに就職活動が困難になることもあります。ただし、最近では海外大卒を積極的に採用し、通年採用や10月入社も実施している企業もありますので、留学中の情報収集がカギになります。
<解消方法>
・留学前に英語力を高めておく
・学びたい専攻について留学前に学習しておく
・留学期間中の学習計画を立てる
・帰国後の就活スケジュールや、留学者の就活イベント情報をリサーチする
デメリットその3:言葉の壁
日本で、ある程度語学を勉強しているという方でも、実際に現地に来てみるとスムーズに会話ができないというケースは少なくありません。言葉がうまく話せないと、学業にも支障をきたします。
特に海外の大学の授業はプレゼンテーションやディスカッション、グループワークなど、コミュニケーションが必要不可欠です。
そのため、発言が少なく、プレゼンテーションの質問に適切に答えられない場合、成績に影響してしまうかもしれません。
海外の大学では言語力は特に重要であり、不得意な場合は留年のリスクも考えられるでしょう。
<解消方法>
・早い段階から計画的に語学の学習をする
・現地の語学学校に入学する、または大学が提供する語学コースに参加する
・教授と相談したり、学習サポート(チューター等)のサービスを利用する。
(不慣れでも、いかに「交渉」して解決策を見出していくかによって成績も大きく変わってきます。言語の壁があってもアプローチ次第で道が拓けるということを学ぶことができます。)
デメリットその4:文化の違いによるストレス
文化や習慣の大きな違いがストレスの原因になりかねません。
たとえば、日本だと休みの日に一人でご飯を食べにいったり、映画館に行ったりすることは珍しくありませんが、海外の場合、休日は友人や家族、パートナーなどと一緒にいることが一般的です。
そのため、海外では一人でいると浮いてしまうことがあり、それが孤独感を生んでしまうおそれがあります。
※個人の性格によっては、一人でいても誰も気にしない(=なので楽)という方はこの限りではありません。
また、食事面での違いにも適応しなければなりません。日本では主食が米ですが、海外ではパンやパスタが主流です。さらに、味付けも異なるため、口に合わないこともあるでしょう。
海外でも醤油や米など日本の食材や調味料を購入できますが、多くの物が高価です。
<解消方法>
・留学先の国についての情報収集を入念に行い、日本との違いを把握する
・食文化の違いや手に入る食材について調べておき、レシピや必要なものを用意する
・大学が提供するメンタルヘルスサポートを利用する
デメリットその5:人間関係の構築
留学先では、一から新たな人間関係を構築する必要があり、慣れない環境かつ外国語で友人を作るというのは決して簡単ではありません。
引っ込み思案な方、自分から話しかけるのが苦手な方も、自分から話しかけていかなければ孤立してしまうでしょう。
<解消方法>
・多少言葉が間違っていても心配せずに、自分から積極的に話しかける
・スポーツや音楽など、自分が興味あるグループやイベントに参加する。
→共通の興味や趣味を持つ方との関係は自然に深まりやすい。
4. 大学留学後の進路
このトピックでは大学留学後にどのような進路があるのか解説します。
留学に興味があるものの、その後はどういった進路があるのか気になる、といった方はぜひ参考にしてください。

(1)就職活動
留学後の進路として一般的なのが、帰国して就職活動をすることが挙げられます。
前述した通り、卒業のタイミングと就職活動のタイミングが合わないケースもあるため、事前にスケジュールを確認しておきましょう。
場合によっては就職活動のタイミングを遅らせて、翌年の新卒採用に応募することも考慮しましょう。
また、ボストンキャリアフォーラムのように海外で学ぶ日本人学生向けの就職活動イベントもあります。こうしたイベントに参加することで、留学経験を活かした就職先を見つける機会を得ることができるでしょう。
(2)進学
在籍していた大学の大学院や、別の大学院、日本国内の大学院への進学など、さまざまな選択肢があります。
留学先の国によって出願の条件や入学試験の有無などが異なるため事前に調べておきましょう。
(3)起業
海外での経験を活用して起業をすることも可能です。
例えば、留学生としてサポートしてもらった経験から、自分で留学エージェント業を始める、大学で学んだ分野に通じる事業を起こすといったことができるでしょう。
その他にも海外大留学中に世界の環境問題へのアプローチを知り、自分でフードロス削減を実現させる会社を立ち上げた。
起業だけでなく、海外に出たことで、日本がいかに過剰包装をしているか、マイボトル持参が普及していない現状があるか、を知り、ゴミを減らす活動を始めた。など海外留学経験をすることでより広い視野で進路を検討することができます。
また、留学中に築いた各国出身者との人脈を活用することもできます。
5.まとめ
大学留学は、多様な価値観の獲得や語学力の向上、グローバルな人脈の構築など、人生を大きく変える可能性を秘めています。
一方で、留学費用の負担や言葉の壁、文化の違いによるストレスなど、デメリットもつきものです。
大学留学を充実したものにするためにも、今回紹介したメリット・デメリットを理解した上で、自分に合った留学プランを立てるようにしてください。
