2月10日(土)から17日(土)は、中国の春節(旧正月)です。

今回は、シリーズ2回目「グローバル時代の世界の常識「春節」~オセアニア・アジア編~」です。
彼らのフロンティア精神は、北米だけでなくオセアニアやアジア諸国にも広がっているのです。
オーストラリアのチャイナタウンと春節
オーストラリアにもチャイナタウンがあり、春節時期には盛大に祝賀に沸き上がります。
特にシドニー、メルボルンそしてブリスベンは観光客にも人気のスポットになっています。
シドニーのチャイナタウンと春節
オーストラリアのチャイナタウンの中でも古い歴史を持つシドニーのチャイナタウンは、1850年頃に最初のチャイナタウンが形成され、次第に他のエリアに広がっていきました。
1920年代頃には現在のディクソン・ストリートを中心としたエリアに移っていきました。

By Enochlau – Own work, CC BY-SA 3.0, Link
春節時期には、「Sydney Lunar Festival(シドニールナーフェスティバル)」が大々的に開催され、シドニー市内では多い時には100近くのプログラムが予定され、多くの観光客も集まります。

By Newtown grafitti – Lunar New Year celebrations, CC BY 2.0, Link
圧巻なのはそれぞれのエリアで巨大な干支のLunar Lanterns(ランタン)が飾られ、夜にはそのランタンの明かりがつくのでその姿は必見です。

By Kenya Chan – Chinese New Year parade, CC BY-SA 2.0, Link
メルボルンのチャイナタウンと春節
多文化都市と言われるメルボルンは、オーストラリアの中でも国際色豊かな都市です。
メルボルンのチャイナタウンは、1850年代以降、このエリアに中国人が移民として定住し、彼らのコミュニティを発展させてきた南半球最大規模と言われる中華街です。
春節時期には「Chinese New Year Festival」が毎年開催され、街中に大量爆竹の音と獅子舞とともに、銅鑼や中国伝統の音楽が聞こえてきます。

By Alpha – Chinese New Year celebrations in Chinatown, CC BY-SA 2.0, Link
毎年、レストランやお店などを1件ずつ獅子舞が訪問するごとに爆竹が焚かれるので、地元民も驚くような爆竹の残骸と大量の灰が道路に積もっているそうですよ。
ブリスベンのチャイナタウンと春節
ブリスベンのチャイナタウンは、中心エリアのFortitude Valleyに位置し、中国人だけでなく地元のオーストラリア人にも人気のある場所になっています。

By Orderinchaos – Own work, CC BY-SA 3.0, Link
春節時期には、「Valley Chinese New Year Festival 」が開催され、ブリスベンにいながらも異国情緒を楽しめるものになっています。
歴史的に華僑がオーストラリアに貢献してきたこともあって、春節はすでにオーストラリアのイベントになっているようです。
ニュージーランドのチャイナタウンと春節
実はニュージーランドはオーストラリアほど大規模なチャイナタウンはありません。
それでも、国自体が小さいとはいえ、19世紀のゴールドラッシュ(金鉱ブーム)がNZでも起こり、多くの華人(その国の国籍を取得した中国人移民)が苦力(マンパワー)として大挙して移民・定住していきました。
苦難の歴史もあり、いわゆる中国風の門構えを持つチャイナタウン・コミュニティ街はありませんが、中国料理店や雑貨店などが立ち並ぶエリアがあり、中国の文化を感じることができます。
特にニュージーランド最大の都市、オークランドでは、毎年、現地の華人団体が春節を祝うイベントとして、「Chinese New Year Festival」を開催します。

By Grutness – Own work, CC BY-SA 3.0, Link
過去には同国のジャシンダ・アーダーン首相がイベントに出席し、これまでのNZに対して貢献してきた彼らの功績をたたえ、大いに盛り上がりました。
アジア諸国のチャイナタウン
アジア諸国にもチャイナタウンはあります。
前回日本の3大チャイナタウン(中華街)をご紹介しましたが、規模の差はあれアジア諸国にも同じような中華街があり、その国に融合しながらも、その中で彼ら独自の文化・風習を継承し、時に縮小しながらも存続してきました。
韓国のチャイナタウンと春節
日本の隣国の韓国にも仁川(インチョン)に大韓民国に唯一、公式に認められているチャイナタウンがあります。
歴史的には100年以上を誇るエリアですが、一時期廃れた時期がありながら、中国と国交が結ばれた1990年代後半にはチャイナタウンが復興されました。
そこから観光特区にも指定され、施設などが再整備されるようになると観光地として人気のスポットになりました。

By Riodamascus – Own work, CC BY-SA 4.0, Link
もちろん旧正月にあたる春節時期には、仁川チャイナタウンも春節の飾りつけで中国の艶やかな赤色に染まり、賑やかさに華を添えます。
また同地発祥とされるチャジャンミョン(韓国式ジャージャー麺)などの中華料理店や、中国のお菓子や衣装を売る店には多くの観光客や地元の人々が集まり、祝賀期間を盛り上げます。
シンガポールのチャイナタウンと春節
シンガポールには、「牛車水」と呼ばれるチャイナタウンがあります。
19世紀初頭には、かつてのインド人やアラブ人たちが居留していた場所に中国系の移民たちが移住し始めたと言われています。
今では、中心部のニュー・ブリッジ・ロード、サウス・ブリッジ・ロード周辺が伝統的なチャイナタウンと言われており、多くの中国雑貨店や、中国料理の屋台やフードコートのような施設もあり、観光スポットとして常に観光客で賑わっています。

人口の80%が華人(移住先の国籍を取得している中国人の総称)と言われていますので、シンガポールは国全体がチャイナタウンとも言えそうですね。
そんな彼らにとって春節時期は、一大イベントでお祝いムード一色となります。

その準備が始まると、チャイナタウンの通りには出店や屋台が立ち並びはじめ、正月の食材や飾りを買いにくる人々で昼は賑わい、夜になるとイルミネーションも点灯し、一層華やかな雰囲気になります。
またこの時期には「チンゲイ パレード」という伝統的なモチーフから現代のデジタルを利用した壮麗な大型山車(だし)を見ることができる国際色豊かなパレードや、「シンガポール リバー ホン バオ カーニバル」というカーニバルも開催されます。

By C1815 – Own work., CC0, Link
この時期はシンガポールの国全体が大いに賑わいますが、新年は意外と日本と同様に、多くの店が閉まり静かに新年を家族や友人たちと祝っているようです。
インドネシアのチャイナタウンと春節
インドネシアのジャカルタにあるグロドック地区を中心に彼らのチャイナタウンは存在しています。
しかし、インドネシア人と華人の間の歴史問題から、過去には厳しい中国文化の制限があり、中国語の看板を掲げることも禁止されていたため、他国のチャイナタウンと比べると、どこか地味な印象が今でもあるかもしれません。

しかし、華人人口は現在では800万人を超え、中国本国を除けば世界最大の華人居住国と言われるようになりました。
インドネシアは人口の約87%(2016年宗教省統計)がイスラム教を信仰する世界最大のイスラム人口を抱える国ですが、様々な宗教の信仰が認められている多宗教国家でもあります。
インドネシアでは春節をイムレックといい、祝日になり祝賀に盛り上がります。
この期間は、どこの国のチャイナタウンでも見られるような、中国の飾りつけや、提灯が街を彩り、多くの屋台や店で中国の食材やお菓子が売られ、バーゲンセールも盛大に行われるそうです。
他宗教国家の中でも力強く生き抜いてきた彼らのタフさ、そしてパワーを感じざるを得ません。
まとめ
今回は、日本に近いオセアニア・東アジア諸国などのチャイナタウンと春節の様子をご紹介しました。
一貫して彼らは春節(旧正月)を大切にし、移民華人としてその国に融合しながらも、彼ら独自の中国文化や風習を守り続けていることに驚くばかりです。
次回は、ヨーロッパのチャイナタウンや春節の様子について、ご紹介していきます。